「山路風」と「山路風山岳会」の仲間たちの登山日記


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霊峰、岩と雪の石鎚連峰ビュー登山
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2002.01.06

霊峰、岩と雪の石鎚連峰 (堂ヶ森 二ノ森 石鎚山)
[ 石鎚山 (1982m) ]

石鎚山系(愛媛県)西日本最高峰であり、深田久弥の「日本百名山」にも名を連ねる名峰。
四国を代表する山として全国から年間約30万人もの登山者が訪れています。

日本七大霊山の一つにも数えられる石鎚山は信仰と案としての歴史が古く白鳳時代の7世紀後半に活躍した修験道の開祖・役行者の開山と伝えられています。
古来人々がその崇高な姿に畏敬の念を抱き、山岳信仰の対象として神聖視されてきた。

(西日本最高峰の石鎚山は標高1,982mで、加賀白山、越中立山、大和大峰山及び釈迦嶽、駿河富士、伯耆大山とともに日本七霊山のひとつに数えられ、 信仰の山として崇拝されてきました。)

1955年には国定公園に指定され、67年にロープウエイ、70年に石鎚スカイラインの 開通によって容易に入山可能になりました。

表参道には下方から試し鎖、一ノ鎖、二ノ鎖、三ノ鎖と四カ所の鎖場があります。
最長は三ノ鎖の68m、最大斜度は二ノ鎖の70度である。 鎖は鉄製で、この鎖の歴史は古く安永8年(1779)に鎖が切れた記録が残っている事から それ以前からあったといわれています。

花の季節になると、隣の赤石連峰のように、イワカガミ、シコクイチゲ、キバナノコマノツメ、ユキワリソウ、頂上ではイシヅチザクラに出会うことができる花の百名山の一山でもあります。  (西条市・四国山登りコレクション編参照)


[ 登山コース ]

1.土小屋ルート
土小屋―(1時間30分)―二ノ鎖小屋―(40分)―弥山―(15分)―天狗岳―(15分)―弥山―(20分)―二ノ鎖小屋―(1時間)―土小屋

2.ロープウェイ−成就ルート
石鎚ロープウェイ前山麓下谷駅―(ロープウェイ8分)―山頂成就駅―(20分)―成就―(1時間30分)―夜明峠―(30分) ―二ノ鎖小屋下分岐―(40分)―弥山―(15分)―天狗岳


[ アクセス ]


冬の石鎚方面への入山は、西条市から石鎚ロープウェイにて成就社からの登攀が一般的です。
ロープウェイは、石鎚スキー場があるため年中無休です。

また、このルートは入山者が多く、足場も比較的く整備されています。ただし、積雪期では、夜明峠から、二の鎖、弥山の北面には、雪が多く注意を要します。

上記のマップは、西条市の国道194号線を高知県方面に進行し、新寒風山トンネル(4〜5Km)を抜け高知県に入ります。
ここから、およそ15分程度で、県道石鎚公園線の分岐信号にさしかかる。

この信号を右折し、本川村役場、郵便局前を通過、このあたりから道幅が狭くなります。
長沢ダム、赤橋、越裏門付近の美しい滝、トイレのある寺川を過ぎ、このあたりから急勾配となり、よさこい峠手前1Km
付近から雪が深くなりやすく、四輪駆動車でも走行できないときがある。ここでは、四駆にチェーンが一般的。
ほとんどの車は、ここで停車し、ここから徒歩となる。峠まで30分。

西条・小松から石鎚ロープウェイへ(瀬戸内バス)

石鎚ロープウェイの営業時間

松山から土小屋へ(伊予鉄・伊予鉄久万バス)



[ 登山手記 ]
 2002年01月06日 

長かった正月休みの最終日。
やっと日本晴れとなった。

正月期間中の鉛色の天蓋から、やっとの思いで夜空の星々が夜空を焦がしている。
この季節の石鎚登山では、成就社から夜明峠を経由するルートが一般的である。
奇人?変人?の我々は、土小屋からのルート専門のアルピニストかもしれない。

恥ずかしい話、まだ一般登山道での石鎚を目指したことがない。
東稜・北壁ルートが美しく、ここを好んで選んで登攀している。
下の写真は、秋に登ったときの一こまである。

分厚い雲上の彼方に瓶ヶ森が浮いている。
04:15AM 今年初めての登山。
ちょっと緊張した面持ちで仲間のSさん宅へ向かう。
パジェロは、スタッドレスを装着しているが、タイヤチェーンが無いので、軽トラックに荷物を載せ、Sさん宅に向かった。
Sさん宅には、Tさんが待っている。

気温は、平地とはいえ結構寒く零度ほどだろう。
正面には、雪化粧した二ツ岳や赤石連山が横たわっている。
ここで、必需品の点検を行った後、Sさんの四駆に載せ替え一路土小屋に向かう。

土小屋までの道程は、土居町→西条市→寒風山トンネル→本川村石鎚公園線→よさこい峠で、およそ2時間の予定である。

06:30AM よさこい峠の下のヘアピンにさしかかる。
雪が深い。チェーンを着けているもののなかなか進めない。
最初のヘアピンから200mほどであえなくダウン。
「ちょっとスコップ借りてくるよ。」
ヘアピンには、仮眠を取っている高知ナンバーの車が数台いた。
親切にも、加勢していただいた。
「やっぱりダメでしたね。」

あれこれしているうちに、朝の日差しが鬱蒼とした樹氷の樹林の中から顔を覗かしてきた。
まことに幻想的である。
私たちもここに車を止めて置き、出発。
先ほど、トラブルの有ったところに、またワゴン車が一台通り過ぎていったではないか。
「無理だと思うけどねー」
「案の定のめりこんだみたいだね」

Sさん先ほどのお礼とばかり、加勢にはいる。
私たちには先に行くようにといわれ、私とTさんと峠を目指してアイゼンを装着した足を運んだ。
時計は、7時30分を指している。
08:00AM よさこい峠到着。
ここでは、北風が容赦無なく吹き抜ける。
そのためか路面は、アイスバーンとなり積雪が少ないがブレーカブルなウィンドクラストになっている。

四輪ともチェーンを装着したRV車が一台止まっている。
ちょうどそのころ、伊吹山方面から一人の初老?が降りてきた。
「おはようございます」
わたしが声をかける。
「今年は、雪が多いみたいですね。」
「そんな感じがしますね。」
思ったより、雪の多い時期であった。
ここでSさんを待つことおよそ20分。
08:26AM Sさんの足跡を追いかけながら、よさこい(予佐越)峠のゲート脇を通り抜け土小屋に向かう。
夏であれば、40分から50分のアプローチであるが、踏み込んだ形跡のないバージンスノーの道程である。
これでも、2時間以上かかるだろう。
交代でラッセルしながら、進んで行く。

途中、強い北風に押し抉られたインゼルが所々に現れている。
およそ1時間ほど歩いただろうか、右後方の雲上の彼方に、モルゲンロートの瓶ヶ森が顔を見せている。
「ワオー絶景だよーん」
「どこどこ・・・・・?」
「わっすっごーい」
唯々感嘆のひとことである。
各々カメラ、ビデオに収めている。
「ぼとぼち行きますか?」
「OK」

北面の辺りから積雪が40センチ以上になり、深い所では、60センチ以上になり、吹き溜まりでは、腰ほどである。
バージンスノーとはいえ、かなりきついラッセルとなってしまった。
ただ、パウダースノーのためか、粉雪のように散ってしまう。
10:40AM 遠くに土小屋のゲートが見えてきた。
いつもバスや、行楽客の車の多いパーキングは、白銀の絨毯となり、いつしか風紋となった寂寥な雰囲気が、私たちの心和ましてくれる。

昨年完成した展望台のテラスも風に運ばれた雪渓に覆われ、ピンク色に染まったモルゲンロートの樹氷の木々とのシルエットが、言いようの無い美しさに疲れた体を癒しながら、 ファインダーを覗いている。

「もう11時近くになったね。」
「もうそんな時間?」
「今からじゃーヤバイかも?」
経験豊かなSさんが言った。
「バージンスノーだから無理だね。」
「やめよう」
「OK]
「じゃー飯でも食べて、石鎚山の見えるところに行こう!」
「岩黒山?」
「そう」
私の、最初からの願望であった。
「昼食にしよう」
ガスに火をつけ食事の準備にかかる。
冷え切ったからだを暖めながら、本番に備えた。
11:50AM 「俺は、きついから二人で行って。車まで帰っておくから」
「じゃーSさんと頑張ってきます。」
誰も入っていない登山道。

平らな登山道は、樹木に囲まれた傾斜の深い状態になっている。
Sさんが、ルートファインディングしながらラッセル開始。
赤布は無く、慣れた登山道とはいえ、確認を怠ることなく全く踏み込んでいない傾斜のきつい登山道を、一歩一歩確かめながら進んで行く。

夏季では、1時間足らずの距離である。
目的地までの登頂予想時間2時間。
もし、この時間を超えるようであれば、断念し引き返すことにする。
北面ルートは、深く1メートル以上あるようだ。
経験上南面からアタックすることにする。

黙々とラッセル。
「代わりましょうか?」
「じゃーたのむよ」
今までのラッセルに比べ積雪も多くかなりきつい。
2時までに行けるだろうか?
少し不安が過(よ)ぎる。
白銀の石鎚連峰を拝みたい。
心の中で祈った。
時折動物の足跡がある。
命の息吹を感じる。
頑張ろう。

南稜分岐に到着。
ここからブッシュ状のスズタケ(背丈の高い熊笹のような植物)が、雪に埋没し、登山者の歩行を阻んでいる。
ところどころアイスホールがあり、ラピーネに注意しながら足を伸ばして行く。
1時40分。
頂上は、近い。
ここから積雪が一段と多くなった。
例年にくらべ、かなり多いみたいである。
深い所では、胸までの雪である。
02:10PM 岩黒山登頂。
真北に広がる石鎚連峰(左から堂が森、二の森、西の冠山、石鎚山天狗岳)東方面には、瓶が森、西黒森山、遥か彼方には、我が故郷の赤石山系、360度の大のパノラマである。
とくに、冬の石鎚山天狗岳や南先鋒のフランケは、人を寄せ付けない風貌である。
また、石鎚から堂が森のスノーリッジは、西日本最高峰の威容そのものである。
Sさんとカメラのシャッターをきる。

この絶景は、完登した者だけに与えられるシルエットなのだ。
ズームなんていらない。(本当は、いいズームを持っていない。また、重いから持ってこれない。) 先ほどまでひたすら歩き続けたためだろうか、比較的暖かく感じられる。
温度計を覗くと、気温マイナス12度、高度1,750m近くを表示している。
「時間だから、ぼちぼち下りましょうか」
「うん、そうしよう」
15分ほど頂上で冬山の絶景に酔いしれたが、スケジュール通り下山開始。

下山は、雪崩に注意しながら、土小屋を目指す。
安全確認した後、笹の上に積もった雪上を少しスライドしてみた。
気持ちがいいが笹が傷むだろう、服も破ける恐れがあるし、危険でもあるので止めることにした。

帰路は、先ほど踏み込んだ跡を歩く。
行きは酔い良い帰りは怖い・・・・・でななく踏み込んだ帰りは非常に楽だ。
踏み込んではあるので雪がいいクッションとなり、膝にとってはベストな感じがする。
03:25PM 私たち2名は、予定通り土小屋に到着。
やはり誰もいない静寂の白銀の世界だ。
「意外と早かったですね。」
「踏み込んであったから随分違うな。」
「そうですね。」
自身納得し、安堵感は漂う。
04:30PM 土小屋からよさこい峠までは、暗くならないうちに着けることができるだろう。
約1時間ほど歩いただろうか、帰路の早いこと。
よさこい峠に差し掛かった頃、瓶ヶ森のアーベントロ−トが美しい。

写したいのだが、・・・・・。
「フィルムが無い。」呟きながら諦めるしかなかった。

よさこい峠を後におよそ20分ほどで、下に止めてあった車に戻るとTさんが待っていた。
「ただいま」
「Sさんまだ?・・・・・。」
「うん、あの人平地を歩くのが遅いから・・・・・(笑)」
「山の登りは重機関車のようだけどね。」
「そのうち帰ってきますよ。」

待つこと20分、上のほうから足音が聞こえてきた。
「帰ってきました。」
「夕焼けがきれいだったんで、伊吹山まで足を伸ばして来たよ。」
Sさんの満足げな様子が印象的だった。
アイゼン、スパッツ取り外すと急に肩が軽やかになった。